好きな人はホスト
ホストの彼…と思いたくないけど、彼は根っからのホストだったみたい。
昼は別の仕事。
夜はホスト。
昼はやりたいことに向けての仕事。
夜は資金稼ぎと勉強?自分磨き?のための仕事。
そんな彼だから、もともとホストに偏見はなかったけど、ホストという仕事を知っても付き合ってこれた。
彼には夢がある。
それは最初に出会ったときに教えてくれた。
今思うと営業に繋げたくて、語った夢なのかもしれない。
でも、昼にきちんとその系統の仕事をしてる人だったからホストじゃなく人として信じられた。
だから仲良くなろうと思った。
ホストクラブも行ったことなかったけど、行ってあげようと思った。
最初はただの興味本位でついていった。
だけど、今も思うよ。
初めて知り合ったホストが彼で良かったなって。
しかし、ホストクラブ…
好きになれるところではなかった。
また行きたいなぁとは決して思えなくて。
彼とはまた話したいなって思ったけど、正直高いお金払ってまで、こんなにうるさいところで人と話したくない。
それが本音だった。
彼は仕事関係なく私とは仲良くしていきたいと言った。
でも、今となれば嘘だったのかなって思う。
月に一度くらいのペースでお店に呼ばれた。
まぁ、月に一度くらいなら良いかな?とお願いされれば行った。
お店以外でも会ってくれてたし。
それに正直、こんなんで売上や給料の足しになるのかな?って思うくらいのお金しか払ってなかったし…最低料金だったでしょうから。
彼と話すのは純粋に楽しかった。
心地良かった。
でも、ホストクラブではお金払ってるのにも関わらず1人にされることが多かった。
それが納得いかず、不満になった。
そうするとやはり彼への独占欲は満たされないし、他のヘルプの人と話しててもなんか楽しくない。
楽しんであげなきゃという変な気遣いで疲れるし。
ただただ彼への独占欲だけが強くなった。
彼と話したい。
とにかくなんでも話したかった。
気づけばずっと引きずってた元カレを忘れてしまうくらい彼のことが好きになってたなぁ。
自分だけを相手してほしくて。
構ってほしくて。
好きになってほしくて。
優しい優しい彼だったから。
こんなに優しくされたのは初めてでしばらく戸惑っていたのをすごく覚えてる。
ホストの彼を好きになった。
というか、ホストという仕事をしている彼を好きになったと思っていた。
ホストの彼も彼であって、彼の一面だと思っていた。
だから、彼をもっと知って、もっと好きになりたいと思った。
宙ぶらりんだった私の生活。
生きててもいいけど、死んでもいいのかなって思うような毎日。
世界に居ても居なくても同じような自分の存在に意味を感じていなかった。
うつ病にもなった。
仕事も続けてることが困難で不安定な日々。
病院に通うのが当たり前で、だけどそれも苦痛で。
薬飲まないと眠れなくて。
毎日、明日が来ることが悲しかった。
だけど、彼に出会ってから変われた。
私の世界に光が射した。
苦痛が和らいだ。眠れるようになった。
彼の存在がとにかく大きかった。
彼が居てくれるだけで幸せだった。
でもやっぱり独占欲は強いんだな。
ずっと付き合ってほしかった。
彼に彼氏になってほしかった。
彼氏という存在にずっと憧れて、その憧れが彼であってほしかった。